インドネシア 産地視察レポート(2)

初日の様子はこちら

2日目はオーガニックのカカオ農園訪問からスタートです。

前日に訪れたフラットな場所にある農園と違い、こちらは、登山!?という感じのスロープを上がり、傾斜にある農園です。ちょっとした森のような感じで、アグロフォレストリースタイル。単一栽培だとその天候や病害でその作物が上手くいかなかった場合、生産者の収入がなくなってしまいますが、いろいろな作物を一緒に植えておくことで、収入源が広がり、リスクも小さくなります。様々な種類の植物が植えられることで、土の中の養分が安定するという良い点もあります。また、カカオは直射日光を嫌い、日陰になってくれる植物(シェードツリー)が必要なのでアグロフォレストリーに向いています。

こちらの農園は完全オーガニック。参加者の虫除けスプレーまで制限されていました。(ディートという成分が土に混じってしまうとオーガニック認証を取れなくなってしまうそうです)

カカオもよりワイルドな感じです。

化学肥料を与えれば簡単に収量は多くなりますが、ヤギの糞などを肥料に自然農法で行うオーガニックの栽培は、作業量も増えてこれまたかなり大変です。本来であれば作農を諦めてしまうような場所で、オーガニックカカオを作るという新たな挑戦。応援したい気持ちになりました。せっかく頑張ってオーガニックで育てても買取の金額が同じでは、生産者が報われないので消費者側も知識を持って付加価値を認めていく流れを作ることも必要だと感じました。

ーーーーーー

拠点に戻り、収穫後のカカオのプロセスを見学。まずは、発酵中の発酵箱の中に手を入れて、実際に発酵を体感しました。これ、生温かくて結構気持ち悪いです。発酵したカカオパルプのヌメヌメがすごすぎて、洗ってもちょっとやそっとでは落ちません。発酵の香りも一種独特なので、カカオ愛がない方には臭いわヌメヌメしているわでなかなかの苦行なのではないでしょうか(笑)

こちらの乾燥箱が初めて見た浅いタイプで興味深かったです。

乾燥するための場所や、貯蔵庫なども見せていただきました。

ーーーーーーー

移動して今回の旅の楽しみの一つであった現地の小学校でのBean to Barワークショップ。

こちらでも素敵なダンスでお出迎えしていただきました。かわいい!

いくつかのグループに分かれて、すり鉢でカカオ豆を潰してチョコレートを作ります。

どのグループが一番早くチョコレートを作れるかのグループ対抗試合です。スタートの合図とともに教室一体がものすごい熱気に、、、

Bean to Bar メーカーとしては、絶対に負けられない戦いがそこにあったわけですが、当チーム、あっさり負けてしまいました(笑)

結果はさておき、負けじと夢中でカカオをすり潰す姿とても可愛かったです。子供達の笑顔は世界共通ですね!!

このワークショップの目的をダリK代表の吉野さんにお話いただきました。

ダリKさんがこの地域で活動を始めた当初、現地の子供達に将来何になりたいか聞くとカカオ農家と答える子はほとんどいなかったそうです。

理由を聞くと大変だから、お金にならないから、と両親が大変な思いをしている姿を見てカカオ農家の跡を継ぐのを嫌がっていたそうです。その原因の一つに、カカオが換金作物となっていることもあります。苦労して育てるカカオがどうやって、何になるのか、、、本当のチョコレートを食べたこともなく、どんな物になるかもわからず、わざわざ苦労してカカオを育てる。モチベーションを上げていくのは容易でないですよね。

小学校でのBean to Bar ワークショップの目的はここにあります。楽しみながら、カカオがどうやってチョコレートになるかを知ってもらう。カカオからできた本物のチョコレートを食べてもらい、その美味しさを知ってもらう。こうやってカカオ農家になりたい子どもが少しでも増えてくれることを願っての活動だそうです。

一つのグループが砂糖を入れ忘れ、子供達がただただ苦いカカオマスを食べてウエッとなってしまい、すっかり逆効果、、、という笑えるアクシデントもありましたが(笑)「カカオ農家になりたい!」というお子さんがもっと増えると嬉しいですね!

ーーーーーーー

次に、現地のパートナーグループであるPS4という団体を訪問しました。農作物の製品化を自ら行い、地域で販売するネットワークを作るというまさに第6次産業を体言化して頑張っている団体。女性が代表です。

ここで初めて見たのが、「サゴ椰子」のパウダーです。木の根を絞り出して、水中の沈殿した部分を乾燥して作るそうです。見学後の食事の時にスープに入れて出してくださったのですが、透明のゼリー状でわらび餅のような不思議な食感でした。お食事というよりはスイーツに良さそうです。(興味津々でサゴ椰子粉を買ってきたのですが、まだ試せていません)

スナックで出してくださったパンの実のスライスを揚げたものも美味しかったです。

ーーーーーー

再び拠点に戻り、ポレワリ最後の夜。

この旅で最も楽しみにしていたと言っても過言ではない、カカオの品種別テイスティングです!!

なんと9種類のカカオをご用意くださいました!

まずカカオの品種に関して説明すると、大まかに以下の3種に分類されると言われています。

・クリオロ・・・香り高い。病害に弱い。
・フォラステロ・・・渋みや苦みが強い。病害に強い
・トリニタリオ・・・クリオロとフォラステロのハイブリッド種

カカオは交配しやすい為、純粋種を保つのは難しいと言われています。また、新しく植えられるものはトリニタリオ種が多いといわれているので、大枠ハイブリッド種に当たると思います。

品種がわかるもの以外に、元々現地にあったものをローカル(Lokal)と呼んでいるようです。フィリピンでは同様に品種判別不可の元々あるカカオをネイティブ(Native)と呼んでいるので、似ていますね。また、呼び名は違えど同じ品種があったりして、かなり面白かったです。

品種別食べ比べに関しては、品種というよりもフルーツの生育個体差があるので、一概になんとも言えないのですが、フォラステロ寄りに見えるものや大きなものなど、意外なものが甘くて驚きました。

カカオはこのパルプ(果実)の部分を使って、発酵するので、糖度が高い(甘い)ほど良く発酵でき、美味しいカカオ豆になるポテンシャルが高いと言われています。

スタッフの皆さんが渾身の絞り出しを見せてくれ、このパルプの生ジュースを飲ませてくださいました!美味しかったです♪

パートナーのカカオ農家さん達からも、お話を伺いました。

ダリKさんとのプロジェクトに参加する前と後で生活や考え方がどう変わっていったかということをお話くださいました。 Dari Kさんが買付けを始め、この地に拠点を作るまでは、発酵やカカオ豆の品質、それによって金額が変わるということなど考えもしていなかったとのこと。品質の良いカカオを適正価格で買ってもらえるようになって生活も楽になったと話していました。最も微笑ましかったのが、もっと頑張ったら自分たちもDari KさんのTシャツもらえるのかな?と期待しているというお話。可愛らしいエピソードですが、たかがTシャツされどTシャツ、それだけ一緒に仕事をしていることが地域のステイタスになっているのでしょうね。

ーーーーーー

そして、今回のツアーに参加したのは日本人だけでなく、現地インドネシアの若き実業家の方々も。

せっかくなのでと、彼らがどういうビジネスをしているのか、どのような経緯でビジネスを始めたのかなどのお話を聞ける時間を設けていただきました。

生産者に寄り添いカカオに付加価値をつけるためにチョコレートメーカーをつくった方、すでに地域にある農作物を使って大きなビジネスにした方、ちょっとした気づきと情熱で本格的なチョコレートドリンクを広めていった方、、、

若いのに、苦労しながらも確実にビシネスを成功させていてとても刺激を受けました。

ビジネスってやはり売る人も買う人もWIN WINであることが重要なのだと再確認。一方が利益を出すようなワンウェイの関係は最初は良くても長続きしないのですね。Dari Kさん含め、提供側、利用者側だけでなく、より大きな視点でハッピーになる人が増えること、WINが増えれば増えるほど、良いビジネスであり、そんなビジネスがより評価され成功していく世の中になっていくと良いな、、、などと思いつつ、現在の自身の無力さを振り返る良い時間となりました!

このインドネシア産地視察ツアー、もう少しボリュームのある一般の方を対象としたものも毎年8月に行われています。今年のツアーは終了したばかりですが、ご興味ある方は来年いかがでしょうか。カカオだけでなく、インドネシアの文化や現地の方とも触れ合える学び多きツアーです。お子さんと一緒に親子で参加される方もいらっしゃるようですよ。

それにしても、素敵な方達とカカオ三昧の本当に楽しいツアーでした。最後になりましたが、主催のDari K吉野さん、同行してくださったスタッフの皆様、ツアー参加者の皆様に心より感謝御礼申し上げます。

インドネシア 産地視察レポート(1)

少し時間が経ってしまいしましたが、7月は長期でお休みをいただきカカオ産地の視察ツアーに参加してきました。

今回のツアーの主催は京都のDari Kさん、チョコレート好きであれば必ずご存知、京都の超有名店!

インドネシアのスラウェシ島のカカオを使ってチョコレートを作っており、代表の吉野さんは、「カカオを通して世界を変える」という目標の元、様々なお取り組みをされていらっしゃる日本のBean to Barの先駆け的存在です。

フィリピンに住んでいた時からカカオファームツアーをやりたいなと思っていたこともあり、今回勉強のために参加させていただきました。

ここますのカカオはフィリピンミンダナオ島産、自分のカカオの産地よりも先に他の産地をご紹介するのはいささか順番が逆なのですが(笑)、、、、ずうっっと参加してみたかった Dari Kさんの産地視察ツアー、短時間ですが本当に充実した素晴らしいツアーだったので紹介させてください。

飛行機でインドネシア スラウェシ島南部のマカッサルという場所まで行き一泊、その後バスで約8時間。家を出てから約2日かけてようやく目的地のポレワリに到着しました。

フィリピンでは僻地に行くこともあったので、到着したポレワリが想像していた何倍も都会で、滞在先ホテルもゴージャスで驚きました。

到着時には現地の若者たちが伝統舞踊でお出迎えしてくれました。ホテルが用意したものでも、ダリKさんが依頼したものでもなく、町の観光局が独自の予算でご用意してくださったお出迎えとのこと、これを見るだけでもダリKさんの地域の貢献と、現地の皆さんから感謝されているということが十分伝わってきます。

ところで、今回のツアーは法人向けツアーで、参加されていた方は皆様食品関連の方々です。

チョコレート関係者はもとより、大手飲料メーカーやアイスクリームの開発をされてらっしゃる方、食品会社のコンサルをしてらっしゃる方など、とにかく食材に関心を持たれてらっしゃる方ばかり。移動の途中で寄るコンビニでも皆さん興味津々で様々なものを試食用に買われていて、おすそ分けしてくださるので、「虫以外は何でも食べてみたい病」の私には幸せすぎる環境!

途中で寄っていただいた、吉野さんイチオシのとうもろこしスタンドの茹でモロコシも、初めての食感。チリ入りの辛い塩とすだちのような柑橘類(たぶんフィリピンのカラマンシー)をつけていただきます。モチモチしてて最高でした!

ーーーーーー

そんなメンバーで始まったツアーの最初の見学は、ローカルで最も大きな市場ウォノムルヨ市場の散策です。

野菜、果物、お魚、衣類、日用雑貨まで大型のスーパーマーケットがないこの地域では生活に必要なものを全てここで揃えるそうです。

ここスラウェシ島と私のいたフィリピンのミンダナオ島は比較的近いので、呼び名こそ違いますがフルーツや野菜は似たようなものがものが多く、親しみがあるものが多かったです。

こちらでも、絶対お腹痛くなりそうな、衛生的に『!?』という器に入った手作りアイスや、南米でも見かけたトウモロコシのポン菓子、フィリピンでは見かけたことのないスネークフルーツなど、カタギは手を出さないような(笑)様々なものをいただき、好奇心が満たされました!

ーーーーーー

途中で、市場の中にあるMacoaというBean to Bar チョコレートショップに立ち寄り、工場を見学させていただきました。

え!こんなところにBean to Bar!?という感じでしたが、政府からの援助をうまく使い、現地の若者数人が地元のカカオを使って作っているチョコレート。荒削りですが、温かみのある素敵なチョコレートでした。

 

立派な機械もいくつかあり、特にカカオ豆からカカオバターを絞り出す搾油機は欲しい機械の一つなので羨ましい限り(笑)併設のカフェもスタイリッシュで、コーヒーもこだわっていました。

 

 

ーーーーーー

その後ダリKさんの拠点となっている現地のカカオ農家さんのお宅にお邪魔して、お食事や会社のお取り組みにお話などを伺い、ダリKさんとは別に、現地の団体独自で作っているチョコレートの工場で工程などを見せていただきました。

こちらも立派で大きな機械があって驚いたのですが、そのほとんどが独自で作られたものと聞き、さらにビックリしました!

自分たちで育てた原料ゆえに、カカオをとても大切にしながらチョコレートを作っていることが伝ってきました。カカオは手のかかる農作物で一粒一粒がとっても貴重。それがわかる人とそうでない人はきっとチョコレートを作る工程や出来上がりが違ってくるのではないかなと思っています。

チョコレートの悲しい側面として、カカオの育つ暑い地域は、チョコレートを作ることに向かないという問題があり、それもあってかカカオは換金作物としてチョコレートを食べたことがないような人々に作られているという事実があります。

私のいたフィリピンは運よく「タブレア」というチョコレートドリンクを飲む習慣があり、作るだけでなく現地でカカオが食されてきました。これは本当にラッキーなこと。一方でインドネシアではこれまで換金作物として育てられていたため、 Dari Kさんが参入するまでは、この地域でも自分の育てたカカオがどのようにチョコレートになってどのような味になるのか知らない人がほとんどだったということです。

味も知らないような農作物を苦労して作って、出来栄えに関わらずカカオ市場の決めたマーケットプライスで買取されていく。頑張って作ったところで、買取金額が上がるわけでもないので結果カカオの品質は二の次になる→インドネシアのカカオの評価が下がる、、、この負のループから脱却するために、技術指導をして良いカカオを作ってもらい、適正な価格で直接買取してあげることで、生産者の生活を助け、向上心を持ってもらい品質の良いカカオを作ってもらう、、、というお取り組みをして来られたのDari Kさんです。

一方で、現地に農民と共同して良いカカオを作っていく団体を立ち上げ、農民自身チョコレートビジネスに参入していける手助けも行なっています。

農民がカカオを作って売るというのは一般的に農業、漁業などの一次産業で、そこに加工をして商品化していくことが二次産業、そして生産者が生産品に付加価値をつけ、流通販売にも業務展開していくが形態を六次産業と呼ばれています。

個人的には、この第六次産業こそが、農民の生活困窮を改善していく理想的なカタチだと思っています。カカオの産地でチョコレートやカカオ加工品を製品化し付加価値をつけた上で、現地で消費したり他へ販売していくことが生産者の生活改善、自立、ひいてはカカオの品質向上につながっていくことは間違いないと信じ、ここますもフィリピンの産地に貢献していきたいと考えています。

この現地の団体でも、自身の生産したカカオから、チョコレートを作って空港のお土産屋さんなどに販売しているそう。すんばらしいですね!

ーーーーーー

そしていよいよお待ちかねのカカオ畑へ!

やっと会えたねインドネシアのカカオちゃん~~~~~ん!!と抱きつきたい気持ちを抑えつつ、カカオポッドの収穫体験。(フィリピンではいつもやってたのですがインアドネシアではお初です!)

本来であれば収穫期は終わっている時期なのですが、参加者のためにポッドを残しておいてくださったとのこと。

カカオは交配しやすい植物なので当然と言えば当然なのですが、フィリピンでよく行っていた農園に比べると、いろいろな種類があるように思いました。色とりどりでとても可愛らしかったです♡

カカオに関するお話をたくさん伺ったあとは、一人づつ、カカオの苗を植樹をさせていただきました。大きくなれよ〜!

そして、農家さんがヤシの木に登ってくれて、超フレッシュなヤシの実ジュースを堪能!

ジュースを飲み干した後は、ヤシの実の内側にあるゼリー状の部分を食します。

ここまではフィリピンでも農家さんにお邪魔するとよくやってくれるおもてなしなのですが、ここではさらに上を行くお・も・て・な・し・が!

ココナッツシュガー(ココナッツの花からとる蜜を煮込んで作る砂糖)をグツグツ煮込み、グラメラというもペースト状のお砂糖をこのゼリー状のココナッツにかけてくださいました。これがとてつもなく美味でした!!

例えて言うなら、きな粉と黒蜜の完璧なマリアージュが葛餅を包むあの感じ、、、嗚呼、フィリピン人にも教えてあげたい!!(←余計なお世話

ーーーーーー

その後も現地のお話などをいろいろとお話を伺いながら1日目は終了。

素敵なメンバーの方々と一緒に、手入れされた美しい農園を訪れ、チョコレートとカカオ三昧の1日、多幸感に酔いしれてこれはグッスリだぞ~!!と眠りにつきました⭐︎
(実は夕食後のお酒にも酔ってた↓)

 

。。。。が、朝4時間半頃、大音量のアザーンで叩き起こされました。

そうここはイスラム教の地、、、朝の礼拝の存在を忘れていました(泣)

(2)へ続く

イベント出店のお知らせ

5月6日(月)は、春日部にある志村酒店のワインイベントに出店させていただくこととなりました。

インポーターや日本の醸造家を招いて、角打ちスタイルでワインを楽しめるイベントです。フードの出店もあり、お酒を飲めない方もお楽しみいただけます。

お酒とチョコレートのマリアージュは、ここます のコンセプトの一つですが、お店ではまだアルコールを提供できておりませんので、ワインとここますチョコレートのマッチングを楽しんでいただく絶好の機会です!

GW最終日、お時間があれば是非遊びに来てください♪

https://www.facebook.com/events/943168909371228/

恭賀新年

新年明けましておめでとうございます。

昨年はご高配を賜りありがとうございました。

店舗工事が進まず、予定していた昨年末のオープンは叶いませんでしたが、今年こそは皆様に美味しいチョコレートをお届できるよう邁進して参ります。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

はじめまして

はじめまして、cocomasオーナーの増田です。
お店のオープンに先駆けて、自己紹介とcocomasを開くことになった経緯を紹介させてください。

私は、小さな頃から、食べることが大好き!そしてとにかくチョコレートが大好きでした!だからと言って、パティシエやショコラティエになりたいと思ったことはなく「食べること」が専門。一番好きなチョコレートは、余計なものが入っていないダーク系の板チョコです。

気になったチョコレートはとりあえず買って食べてみるという自由奔放な学生時代を過ごし、大学卒業後は航空会社に就職。フライト先では様々な国でチョコレート屋さん巡りをしました。特にヨーロッパはチョコレートの歴史も深く生活の一部になっていることから多くのチョコレート屋さんがあり、有名な老舗から名もなき小さなお店まで、様々なチョコレートを食べました。

その後、いくつかの職を経た後、あることがきっかけでワインソムリエの資格試験を受けることになりました。農家だった祖父からのDNAでしょうか、ワインのことを学ぶにつれ、ワインよりも原料の葡萄や産地や栽培方法、醸造に興味を持ち始めました。どのように栽培されて作られるのか自分の目で見たいと思い、山梨の有名なワイナリーの畑を一区画お借りしてオリジナルワインを作るプロジェクトに参加。一年間山梨に通い、栽培方法を教えていただきながらオリジナルのワインを作る体験もさせていただきました。

ソムリエの勉強中に思っていたことは、チョコレートもワインと似ているということ。当時はシングルオリジンやBean to Barという言葉がまだ一般的ではありませんでしたが、いつかチョコレートもワインのように産地や品種に細分化され、作り手が高く評価される日が来ることになるだろうと思いました。そして、ワイン同様にチョコレートそのものよりも原料のカカオの方が気になり、栽培や発酵など上流側に興味を持って真剣に調べ始めました。

ちょうど同じ時期に参加したチョコレートセミナーでシングルオリジンのBean to Barチョコレートを食べて衝撃を受けました。砂糖とカカオしか使用していないというチョコレートから、信じられないくらい柑橘系のフルーティーな味がしたのです。それからは、シングルオリジンのチョコレートばかり気になってしまい、いつか産地に行ってみたいなと思いながら、趣味としてチョコレートを楽しんでいました。特に、ワインを始めとするお酒とチョコレートのマッチングは本当に奥が深く、面白い世界です。一人でも多くの方に、チョコレートの美味しさやお酒とのマリア-ジュの面白さを知って欲しいと思うようになりました。

2015年に勤めていた会社を辞めることになり、旅行でもしようかなと思った時にフィリピン共和国にもカカオがあることを知ります。地球の裏側のカカオよりも同じアジアのカカオが見てみたい!と思い、現地行きを即決。一番大きな産地はミンダナオ島のダバオという場所で、いきなり行ってもカカオを見られるという保証もなさそうだったので、1ヵ月程、現地の語学学校に通うことにしました。

最初はなかなかカカオに辿り着けませんでしたが、徐々に情報を得ることができ、帰国する頃にはいくつかのカカオファームを見ることができました。初めて食べたカカオの実の美味しさたるや、その時の感動は今でも忘れません!

カカオ農園を訪問することができたことは嬉しかったのですが、同時にカカオを作っている人々が必ずしもハッピーでないことを知ります。大きなファームは良い買い取り業者を持っておりとても成功しているように見えましたが、小さな農家はカカオを買い叩かれており、貧困などたくさんの問題を抱えていました。

もやもやした気持ちで帰国した後、もっとフィリピンのカカオのことが知りたい、カカオ農家の環境改善がしたいと思うようになり、再びダバオに戻りました。NGOや現地の企業で働きながら、約2年間カカオに関してのリサーチやボランティア活動などを独自に行い、徐々に現地のカカオ関係者とのネットワークを築くことができました。

カカオの調査に帯同したり、JICA関連のリサーチのお手伝いをしたり、様々なすばらしい経験をさせていただきました。そして、現地カカオ協会の講習に参加してカカオ栽培のノウハウを学び、知り合いの畑を間借りして栽培したカカオからTree to Barチョコレートを作るという目標を達成することもできました。

自分の農園を持ち、一から育てたカカオでオリジナルのTree to Barチョコレートを展開することを目標に現地で準備を進めていましたが、現地カカオ関係者から、フィリピンカカオやその製品を日本で販売する架け橋になって欲しいという要望をチラホラと聞くようになりました。

自分で作ったカカオからオリジナルのチョコレートを作れば、一貫した品質管理が可能となりきっと美味しいチョコレートができるだろう。けれど、現地のカカオ生産者や今後世界的に不足すると言われているカカオの為になるだろうか?一から十まで自分で行ってしまったら、個人的な夢は達成できるけれど、何一つ現地の為にならないということに気付かされます。

フィリピンのカカオは生産量も少なく、日本ではまだあまり知られていませんが、とても品質が良く、高いポテンシャルを持っています。多くの方にフィリピンカカオの美味しさを伝えたいと思い、少し視点を変えてカカオ豆の輸入販売とBean to Barチョコレートのお店を日本で開くことにしました。

適正な価格で豆を買い取り、品質評価のシステムを作ることによって、農民の生活向上を手助けすることができ、より高品質のカカオが生産され、収量も増えていくことに繋がると考えています。また、cocomasの収益の一部をカカオ農家やカカオ農協にフィードバックして、より良い生産環境を作っていきたいと考えています。

お店のコンセプトは楽しみながらチョコレートのことを学べる場所。
植物油脂たっぷりのチョコレートではなくて、カカオとお砂糖だけで作った本物のチョコレートの味を皆さんに味わっていただきたいと思っています。そして、得意のテイスティングスキルを生かしてチョコレートとお酒のマリア-ジュを提案してきたいと思っています。

店名は、カカオの生産量が増えてこれからもずっと美味しいチョコレートを食べられるように、もっと皆さんに美味しいチョコレートを食べてもらえるようにと、cocomas(ここます)と名付けました。
Cocoはカカオのこと。海外では広くこう呼ばれています。そして、Masはスペイン語で「More/もっと」とか「とても」という意です。

ちなみにMasはお酒の枡にもかかっているので、ロゴはカカオと枡になっています。チョコレートお酒を一緒に楽しんでいただきたいという思いが込もっています。

フィリピンに住んで活動した中で最も大きな収穫は、新鮮なカカオ豆で作ったチョコレートはフルーティーでとても美味しいという事がわかったこと。チョコレート作りをしている方でもなかなかこの事をご存知でないと思っています。

cocomasは収穫ごとに買い付けに行き、フレッシュなカカオから作ったチョコレートを提供していきます。オープンまではまだしばらくかかりそうですが、定期的にチョコレートのこと、カカオのこと、フィリピンで学んだことなどをこちらで報告できたらと思っています。

今後とも、お店ごとどうぞよろしくお願い致します。