産地訪問2022①

Posted on Category:未分類

4月にお休みをいただき、約2年ぶりの産地訪問をしてきました。

カカオがどのように栽培されて、どのような収穫後の工程(アフタークロッププロセス)が行われているのかということと併せてご紹介したいと思います。

まずご紹介するのは、北ダバオ州にあるKapalongという地域。
今回も、とてつもなく親切に説明してくれるKapalong農協カカオ部門のジョン君とジェイ君がアテンドしてくれました。

前回訪問した時はまだ建設中だった収穫後のプロセスを行う設備が立派に完成して稼働していました。
といってもこの時期は収穫期ではないので、カカオが少なめ。
カカオ豆でいっぱいのところを見せたかったと残念がっていました。

現地のほとんどの農協では、農家さんがカカオ収穫後カカオポッドから取り出した豆を農協の施設に持ち込み、それを買取ります。

集めたカカオ豆は、果肉ごと発酵箱に入れられて発酵を行います。

発酵には嫌気発酵・好気発酵があり、まずは空気を触れさせずに果肉の糖を分解させ、一定の温度まで上がるのを待ち、空気を入れてからさらに発酵させていきます。その為、途中でかき混ぜる必要があるのですが、作業を効率的に行う為に醗酵槽が段々になっており、真ん中の仕切り板を抜いて上から下にカカオ豆を落としてひっくり返します。Kapalong農協の発行施設では2日ごとにターンして6日の醗酵期間をとっているのですが、2段なので、上から下に落とした後、2度目のターンは横の醗酵槽に移すそうです。濡れたカカオは重いのでこれがなかなかの重労働です。

醗酵が終わったら、乾燥。お天気にもよりますが、だいたい5日から7日天日干しを行います。

表面が乾燥してきたらかき混ぜるということを繰り返し行います。

ちなみに、個人の農家さんはこのように道端に干していたりします。(雑w)
収穫期にはよく見られる個人的に大好きな風景です!

ビニールハウススタイルの乾燥台は心配ありませんが、屋根がない乾燥場では急な雨が降ってきたら一度取り込み、晴れてきたらまた広げるという作業が行われます。おちおちお出かけもできませんね(笑)

このようなアフタークロップ設備は作るのにけっこうなコストがかかります。もちろん独自で作ることもありますが、大きな農協ではフィリピン農業省や、地域の農業部などの支援を受けて作ることが多いようです。
(収穫後すぐに発酵や乾燥を行わなくてはいけないカカオ、設備がなく、カカオを腐らせてしまったという話もよく聞きます。)

Kapalong地域では古くからカカオが栽培されていましたが、このようにセントラルコントロールするようになったのはこの数年。Kapalong農協では約200のカカオ農家メンバーがおり、集積所に来れない農家さんのためにトラックでカカオ豆の回収もしているそうです。

このように、家の前にカカオを並べておき、トラックで回収するシステム。親切です。

そして、前回同様アーネストさんの畑にお邪魔しました。
農協のメンバーさんの中でも優秀な農家さんがアーネストさん。野生に近いオーガニック環境でカカオ作りを行っています。
ここますではアーネストさんのカカオを指名買いさせてもらい、”rough”という粗挽きのチョコレートに使用しています。

以前は個人で発酵、乾燥を行っていましたが、現在は収穫したカカオはそのまま農協さんに販売しているそうです。

アーネストさんの畑は標高高め、パッと見ジャングルの山の斜面にあります。
(なんなら崖みたいな斜面です。笑)

訪問した時は雨が多くぬかるんでいたので、斜面を下るのは危険と止められました。
水捌けの良さが必要なカカオにとっては良い環境ですが、生産者にとってはとても過酷な環境ですね。
谷の向こう側の山までカカオが植えられているそうです。
今回は諦めましたが次回は谷底までのカカオ散策に挑戦してみたいと思います。(行けるのか?!

アーネストさんの畑には樹齢50年を超える「ブラジル」という品種のネイティブカカオが多くあります。このカカオがとても美味しいんです。ただ、他のフルーツ同様に古木は収穫量が落ちていくので、最近は新しい品種の接木を行っているとのことです。接木した部分は接木の枝の品種が結実するので、別の品種のカカオが生ります。

特にそれを謳っていたわけではないのですが、2019年のアーネストさんのカカオを使ったVV(ヴィエイユ ヴィーニュ←ワインで使われる古木の表現)チョコレートは本当に美味しくお客様にも大好評。
それ故、個人的には接木にもブラジル種を使って欲しい、もしくはブラジル種で種からの苗作りをして欲しいわけですが、技術的にもなかなか難しいそうです。育てやすくて収穫量の多い農家さんが収益を得るには仕方がないことですよね。

山の中はランチができるお店もないので、アーネストさんの奥様がお食事を用意してくれました。
豚肉の煮込み料理をごはんにかけていただきます。質素だけれどとても美味しかったです♪



Kapalong農協ではジョン君とジェイ君の若い二人が中心になってタブレアというチョコレート作りも始めたそうです。
農作物を加工し、付加価値をつけるいわゆる第六次産業です。
タブレアはフィリピンで伝統的に飲まれるホットチョコレート用のチョコレートで、現地でも人気があります。まだ本格的な販売には至っていないようですが、サンプルをいただいたらとても美味しかったのでこれからのご活躍に期待大です!


ランチこぼれ話:
農協の方は地鶏のスープが飲みたいとリクエストしていたそうなのですが、食べごろの地鶏がいなかったようで、到着した時に豚肉のお料理でも良い?と聞かれました。
OK!と言って畑に行きましたが、戻って来たらアーネストさんのお宅にいたものすごくかわいい子豚ちゃんの姿が見えず、泣きながら「NO〜〜〜〜〜〜〜!!!」と叫ぶわたし。
アハハ!大丈夫、あの子豚じゃないよ!どこか行っただけだから安心して!と笑われました。
食後に子豚ちゃんが出てきて心の底からホッ=3
よかった〜!!!
(↑フィリピンではわりとよくある話)

②に続く

はじめまして

Posted on Category:Blog

はじめまして、cocomas chocolate 増田です!
(以前のブログが消えてしまったので改めてご紹介させてください)

子供の頃からチョコレート好きで、航空会社に勤めている時は各地のチョコレートを食べ歩きました。ワインソムリエの資格取得の際にシングルオリジンのチョコレートと出会い、ワインとチョコレートの共通点に感動。もっとカカオのことを知りたいと思いアジアのカカオ産地であるフィリピンに移住、現地NGOに勤務したり、お借りした畑でカカオの栽培をしながら現地のカカオのリサーチを行いました。同時に、現地農家さん達の貧困問題を知り、フィリピン産のカカオを広めて現地の生産者さんたちに何か還元したという思いが生まれ、帰国後に「ここます」を立ち上げました。

ここますでは、フィリピン産のカカオ豆を使用してチョコレートを作っています。
主な産地は、フィリピンミンダナオ島の南部に位置するダバオという地域。
現地のカカオ農協さんやカカオの生産者さんからカカオ豆をダイレクトトレードしています。


日本でも定着してきたBean to Bar ChocolateやCraft Chocolate  というワード、カカオ豆を仕入れて店内や工場で豆からチョコレートにしているメーカーを指します。最近はTree to Barもよく聞くようになってきました。カカオの栽培からチョコレートにするまで一貫して行うメーカーのことです。いずれにしても、ワインやコーヒーなどと同様、生産地別のカカオ豆から作られたシングルオリジンチョコレートを楽しむことが一般的になってきました。

お店をはじめて以来、ずっとアピールしていることがあります。
それはカカオがフルーツであること。

赤道を挟み北緯20度から南緯20度のカカオベルトという限られたエリアでしか栽培できないカカオは、花から結実するまでの確率は100分の1と非常に低い確率です。

収穫したカカオは、カカオポッドという外殻から中身を出し、果肉ごと発酵をさせます。4〜6日程度発酵した後、1週間程度乾燥させてはじめてカカオ豆という商品になります。

カカオはフルーツであると同時に醗酵食でもあるわけです。

フルーツであるということは、気候や環境、栽培状況に左右される農作物であり、醗酵食であることは環境や技術によって醗酵の具合いも大きく変わってきます。

つまり、美味しいチョコレートを安定的に食べられるということは、奇跡に近い!?
だからこそ、面白い世界なのではないかと思っています。

様々な要素が複雑に絡み合い、複雑なフレーバーを作り出していきます。
カカオとお砂糖しか使っていないのに、オレンジやレモンの柑橘系、いちごなどのベリー系、ミントや杉のような香りががするハーブ系、赤ワインのような醗酵の香りがしたり、バルサミコ酢のフレーバーがあるものも。

チョコレートにしてからも熟成し少しづつ味が変わっていきます。
さらに、焙煎や配合などチョコレートを作る工程の要素も加わってきます。

大手メーカーさんの作るチョコレートとは違い、バッジごとにフレーバーは変わってくるので、100%同じチョコレートに出会える可能性は低い、、、ある意味一期一会の世界です!

ここますでは、口の中に入れた時に「カカオ=フルーツ」であること思い出させてくれるようなフルーティーなチョコレート作りをモットーとしています。
ぜひ、みなさんもシングルオリジンチョコレートの面白さを体験してみてください!